消費者トラブル、消費者契約法について、この記事では解説しています。消費者契約法は、「不当条項」を規制し、特約を無効にするなど、強力な効果を持ちます。
Q 消費者契約法とは、どういう法律なのですか?
こういった現状から、消費者を保護するために、不当な勧誘や、一方的に不利な条項などから消費者を保護しようとするのが消費者契約法です。
消費者契約法の対象となる契約は、事業者と消費者との間で締結される契約すべてになります。したがって、消費者契約法の守備範囲は、非常に広いということになります。
消費者契約法は、主に以下の内容を定めた上で、事業者と消費者との交渉格差を是正しています。
1 | 誤認による取消権 |
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2 | 困惑による取消権 |
3 | 事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効 |
4 | 損害賠償の額を予定する条項の無効 |
5 | 消費者の利益を一方的に害する条項の無効 |
たとえば、「消費者の利益を一方的に害する」かどうかは、捉え方によって複数の結論があり得るなど、一般の方には理解が難しいと思います。
しかし、事案の種類ごとに、判例が集積されていますので、弁護士であれば、判例理論をもとにして、個別の条項が無効になる可能性があるのか否かの見込みを的確に説明することができます。
消費者トラブルにまきこまれた際は、ぜひ弁護士にご相談ください。
Q 誤認や困惑に基づきなされた契約というのは、具体的にどのようなものをさすのですか?
困惑とは、勧誘員がずっと家に居座るなど、不退去を行ったり、逆に消費者を事業所から帰さないような場合をさします。
誤認や困惑に基づき、契約を締結してしまっても、消費者は、その契約をあとから取り消すことができます。
注意すべきは、消費者が取消しの意思表示をするまでは、当該契約は一応有効である、ということです。したがって、誤認や困惑により契約をしてしまった場合には、事業者に対し、早めに取消しの意思表示をすべきです。
このような状況に陥り、契約を取り消したいとお悩みの場合、お早めに弁護士にご相談ください。有効に取消し手続ができれば、支払った代金の全額を取り戻すことができます。
誤認 | ・事実と異なることを告げて契約を締結した場合(品質などが全く違うなど) ・断定的な判断(必ず儲かりますなど) ・故意による不利益事実の不告知(わざと品質などの不利益な部分を教えないなど) |
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困惑 | ・不退去(契約するまで帰りませんなど) ・監禁、退去妨害(帰りたいと言っても契約するまで帰さないなど) |
Q 新築の請負契約をしましたが、着工前に中途解約すると、違約金100万円を請求されました。
このとき、請負契約書には、中途解約の違約金が記載されていることがあり、一部の住宅メーカーは、実際に契約上の違約金を請求しているようです。
しかし、今回のように建物着工前であれば、メーカー側に100万円もの損害が発生することは通常あり得ません。
ここで登場するのが、消費者契約法における、「損害賠償の額を予定する条項の無効」の規定です。この規定は、事業者が被るであろう平均的損害額を上回る違約金規定について、一部無効とするものです。
今回のケースでいえば、いまだ住宅メーカーは新築工事に着工しておらず、材料も調達していないという場合には、建築確認申請費用や、契約書の印紙代など、せいぜい20万円程度の損害しか受けないはずです。
したがって、それを上回る100万円の違約金条項は無効となりますので、消費者は、住宅メーカーに対し、支払い済みの手付金から、メーカーがかかった実費分だけ差し引いた金額の返還を請求することができます。
100万円と20万円では、大きな差になることがお分かりいただけると思います。このように、消費者契約法は、消費者の利益を守る法律として、大きな効果を発揮します。
このようなケースも含めて、消費者トラブルにあった際は、諦めずに弁護士に相談すれば、予想以上のお金が戻ってくることもあります。