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相続と遺産分割|遺産相続

遺産相続、相続と遺産分割について、この記事では解説しています。遺産分割を行うべき場合はどういう場合か、遺産分割手続にあたっての留意点を解説します。

Q 遺産分割とは何ですか?

遺産分割とは、各相続人に対し、個々の遺産を配分する手続のことを言います。相続人が1人であれば、遺産を配分する必要はありません。その1人が、遺産を全て承継するというだけになります。

他方、相続人が複数人あるときは、相続財産は、複数の相続人の共有となります(民法898条)。遺産分割手続は、遺産の共有状態を解消し、個々の財産を配分する手続きになります。

Q 遺産分割をすると、どのような意味がありますか?

遺産分割を行なうと、遺産の共有状態が解消され、財産の利用、売却等の点で便利になります。前述のように、相続人が複数人あるときは、相続財産は、複数の相続人の共有となります。相続人間の意見が合わない場合などには、遺産を共同で利用しにくい状況となります。

たとえば、相続財産の中に3筆の土地があるとします。相続が開始し、相続人が3人となりました。そうすると、相続人3人が、3筆の土地を共有する状態になります。たとえ1つの土地でも、その利用について、相続人3人の意見の折り合いが必要となります。

他方、相続人3人が、遺産分割によって、3筆の土地をそれぞれに帰属させたとします。この場合、1つの土地の利用は、その所有者の相続人1人が決めることができます。このように遺産分割手続をとると、財産の利用の点で便利になります。

Q 遺産分割の手続について教えてください。

遺産分割は、最初、相続人間での話合いで行います。遺産分割の当事者は、見ず知らずの人ではなく、親族関係がある人です。そのため、話合いによって、お互い、円満に遺産分割を行なうのが大切です。

親族間では、お互いに世話をかけたり、世話になったりしています。そのため、親族間での話合いでは、法律の杓子定規な分割で行う必要性はありません。法律も、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」(民法906条)としています。

他方、親族関係があっても関係が希薄である場合もあります。また、親族間で対立がある場合もあります。このようなケースでは、親族間の話合いで解決がつかないことがあります。

親族間の話合いで解決がつかない場合、遺産分割調停の場で、話合いが行われることになります。遺産分割調停では、第三者の調停委員が話合いを仲裁します。調停委員が、第三者の客観的な立場から、相続人に対し、意見を伝えます。調停委員が加わって話し合うことで、遺産分割がまとまることも多くあります。

遺産分割調停でまとまらない場合、裁判官による審判がなされます。審判においては、法律に従った判断がなされます。しかし、遺産分割の審判においては裁量が認められています。相続財産の種類、相続人の生活状況、これまでの経緯、相続人の意向等を踏まえて、柔軟な審判がなされます。