刑事事件の執行猶予について、この記事では解説しています。起訴されてしまった場合でも、弁護士に依頼して執行猶予を獲得できれば、刑務所に入ることを阻止できます。
Q 執行猶予とはどのような制度ですか?
刑事裁判では、無罪等の場合を除き、刑の言い渡しがなされます。刑としては、懲役刑、罰金刑などがあります。たとえば、横領罪には懲役刑しかありません。執行猶予制度がなければ、どうなるでしょうか?どのような横領であっても、刑事裁判になれば、刑務所に服役することになります。なお、「減刑」によって罰金刑になることもありますが、減刑を獲得するのはとても難しいです。
しかし、執行猶予の制度があるため、事情により、横領罪であっても刑務所に行くことを避けることができます。執行猶予を付けるかどうかは、さまざまな量刑の事情がかかわります。
Q 執行猶予のメリットは?
また、無事に執行猶予期間を過ぎれば、刑の言い渡し自体が無くなります。つまり、懲役刑などの刑罰に服さなくても良いのです。
たとえば、懲役刑で刑務所に服役したとします。その場合の不利益は大きいものがあります。勤めている職場は、解雇されるでしょう。1年前後も、出勤できない従業員を雇い続ける職場はないからです。出勤できない理由が、犯罪行為という理由であれば、なおさらになります。
また、刑務所に服役中は、ご家族と過ごすことはできません。ご本人様が、寂しい思いなどをします。また、それ以上に、ご家族が寂しい思いをします。刑務所での面会も、限られた回数しかできません。ご家族に何か困ったときがあっても、助けることは難しい状況になります。特に、ご家族を養うための収入を得ることができません。
また、刑務所での生活は不自由なものです。これまでとは異なり、多くのことが禁止されます。たとえば、食べたい物を自由に食べることはできません。ゲーム、インターネット等の娯楽も制限されます。何かのイベント等に出席したいと思っても、出席することはできません。
このように、同じ懲役刑でも、執行猶予がつくか否かで、雲泥の差が生じます。そのため、執行猶予の獲得に努めるのが重要です。また、執行猶予を得た場合も、執行猶予の取消にならぬよう、細心の注意を払って生活する必要があります。
Q 執行猶予をつけるには?
①前に禁錮以上の刑に処せられたことがない
②仮に、禁固以上の刑に処せられても、その執行終了後又は執行の免除を受けた後5年経過している
③今回の刑事裁判の刑が「3年以下の懲役」にとどまる
良い「情状」ですが、当然、犯罪にかかわる事実関係が重要になります。たとえば、犯罪類型、被害の程度、悪質性等が考慮されます。しかし、犯罪にかかわる事実は、後で変えることはできません。刑事裁判となった場合、現実的に対応できるのは、犯罪後の事情を良い事情とすることです。
犯罪後の事情として、評価されるのは示談の成立です。また、加害者の反省も評価されます。その他、犯罪行為を二度としないような事情があれば、その事実も大きく評価されます。したがって、弁護士に相談し、一緒に考え、示談、反省等していくことが重要です。