刑事事件の会社対応について、この記事では解説しています。逮捕・勾留されても、勤務先の会社に適切な対応をとれば、会社を辞めずに済むことも少なくありません。
Q 会社対応の必要性について教えてください。
刑事事件になった場合、勤務先の会社への対応が必要になります。刑事事件では、逮捕・勾留による身柄拘束がなされることがあります。身柄拘束されると、会社に出勤できません。
そこで、①会社の業務に支障が出る点、②犯罪に関わっている事情を会社が知る点で、会社対応が必要になります。
Q 勾留された場合の会社対応は?
勾留された場合、会社に対して、こちら側の事情を伝える必要性があります。勾留されると、最大20日、会社に出勤することができません。会社に事情を伝えなければ、無断欠勤等になります。また、適切に説明しないと、会社に不信感を生じさせます。
勾留後、不起訴処分になることもあります。また、略式請求で罰金刑となり、早期の釈放となることもあります。これらの場合、比較的早く、会社に復帰することができます。そのため、処分の見込みを伝えることは重要です。
また、どのような犯罪か、被害状況、示談の有無等も説明した方が良いでしょう。適切に説明しなければ、不信感が生まれます。また、憶測で、やってもいないことをやったと思われてしまいます。
弁護士に対し、会社への説明を依頼することは有用です。ご本人様の状況、刑事事件の内容等は、弁護士が詳しく知っています。また、弁護士は、正確に事実関係を伝えることもできます。また、刑事処分の見込みは、弁護士でなければ、なかなか分かりません。会社も、弁護士が言うことであれば、信頼できるということもあります。
Q 会社に説明しない場合と説明した場合、どの程度違いますか?
会社への説明は重要です。たとえば、次の図のように対比すると、分かります。
勾留の会社対応、説明しない場合
説明する事項 | 例 | 会社の反応(一例) |
---|---|---|
会社を休む理由 | ・・・ | 休む理由が特定できず、疑心暗鬼を生む |
処分の見込み | ・・・ | 重い刑事処分(何年もの懲役)を想定し、復帰させるのを諦める |
犯罪の種類、態様 | ・・・ | 今後、会社業務でも犯罪を行なうか不安になる |
被害の程度 | ・・・ | 被害が重い場合を予想し、従業員の性格を疑う |
示談の成立 | ・・・ | トラブルが残っているため、従業員への更生の期待が薄れる |
業務の引継ぎ | ・・・ | 会社業務への支障が出、会社は多大な迷惑を被る |
勾留の会社対応、説明した場合
説明する事項 | 例 | 会社の反応(一例) |
---|---|---|
会社を休む理由 | 逮捕・勾留中である | 休む理由が特定でき、対応が可能になる |
処分の見込み | 略式請求で罰金刑 | 仕事への早期復帰を知ることができる |
犯罪の種類、態様 | 酒に酔い、知人を殴った | 会社業務と無関係であると知ることができる |
被害の程度 | 全治1週間 | 従業員の問題性の程度が重くないと知ることができる |
示談の成立 | 示談成立、示談金も支払済み | 当事者間では解決済みで、安心できる |
業務の引継ぎ | 引き継ぐ業務の指定、引継ぎ方法の説明等 | 会社業務への支障が軽減される |