仲介業者に関する不動産トラブルについて、この記事では解説しています。仲介業者の報酬や責任について、トラブルになった際の解決方法を理解し、早期に弁護士にご相談ください。
Q 不動産の仲介業者とは?
仲介業者とは、不動産の売買・賃貸借等について、代理・媒介を行なう業者のことを言います。なお、媒介とは、契約が成立するように労力を尽くすことを言います。
たとえば、駅前の不動産屋に行くと、数多くの賃貸物件、売却物件が掲示されています。その物件の所有者は、通常、その不動産屋とは別の人です。多くの場合、不動産屋は、賃貸物件等の所有者(家主)から、賃貸契約が成立するように媒介を受けているだけです。なお、仲介業者は、法律上、宅地建物取引業者(宅地建物取引法2条2号)に該当します。
Q 仲介業者と、どのようなことでトラブルになりますか?
たとえば、仲介業者への報酬をめぐるトラブルがあります。また、仲介業者の説明不足によって損害を被るトラブル等があります。土地・建物等の不動産取引は、何千万円が動く高額な取引になります。また、不動産取引では、不動産の評価が重要ですが、その評価は難しいです。また、欠陥のある不動産のその欠陥を見つけるのは難しいです。
これらの事情があるため、国によって、宅地建物取引業者の免許制が定められています。つまり、宅地建物取引業者が、不動産取引の代理・媒介を行なうことによって、買主・売主の不測の損害を防止することを予定しています。
しかし、逆に言えば、不動産取引は専門的なものであり、難しいです。そのため、宅地建物取引業者も、ミスをすることがあります。また、不動産取引の代理・媒介の報酬は安くはありません。
Q 仲介業者とのトラブルは、どのように解決したら良いですか?
仲介業者とのトラブルを解決する方法としては、次のような手続等があります。
仲介業者、その他の不動産トラブルの手続等
苦情処理機関、相談機関等 | 内容など |
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①公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会(ハトのマーク) | ・宅地建物取引業法に基づき設立された社団法人(同法64条の2) ・会員への苦情解決、債務保証等の業務を行う ・上記は、宅地建物取引業法上の要請(同法64条の3) ・全国の宅地建物取引業者のうち8割が加盟 ・なお、会員は、公益社団法人全国宅地建物取引業協会(ハトのマーク)にも同時に加入 |
②公益社団法人全日本不動産保証協会(うさぎのマーク) | ・宅地建物取引業法に基づき設立された社団法人(同法64条の2) ・会員への苦情解決、債務保証等の業務を行う ・上記は宅地建物取引業法での要請(同法64条の3) ・ハトのマークに入会していない会員は、概ね、こちらに入会 ・なお、会員は、公益社団法人全日本不動産協会(うさぎのマーク)にも同時に加入 |
③県庁の建築管理課など(宅地建物取引業法の所管課) | ・宅地建物取引業法違反の指導監督を行なう立場から、苦情相談の申立てを受け付ける ・損害賠償などの民事的な内容への介入はせず、上記の行政上の指導監督に尽きる |
④一般財団法人不動産適正取引推進機構 | ・裁判外紛争処理(ADR) ・専門的知識を持つ紛争処理委員が、中立・公正な立場で解決を図る ・なお、当該推進機構は、宅地建物取引資格試験を実施する機関 |
⑤公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター | ・国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の中立・公正な相談窓口 ・一定の要件を満たす住宅、又はリフォームの見積もり等の専門家相談(建築士、弁護士)も行う ・弁護士会の住宅紛争審査会の窓口を行なう |
⑥弁護士会の住宅紛争審査会 | ・住宅の品質確保の推進等に関する法律に基づき、国土交通大臣の指定を受けた裁判外紛争処理機関(ADR) ・弁護士が、建築士などの協力を得て、あっせん、調停、仲裁を行い、話合いによる紛争解決を目指す制度 ・公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターから、上記のあっせん等の委託を受けている |
なお、最終的な解決として、民事裁判があります。民事裁判を踏まえて、予め弁護士に相談しておくことは有益です。