犯罪被害者の被害届について、この記事では解説しています。被害届の提出=事件化、というイメージが世間には広く根付いています。被害届とはどういった法律上の意味を持つのでしょうか。
Q 被害届って、何?
しかし、実のところ、被害届は刑事訴訟法上制度化されたものではなく、あくまで警察に対して自己の被疑を申告する、「任意の書類」になるのです。 これに対して、刑事訴訟法上の効果を有するのが「告訴」です。
要するに、どういうことかというと、被害届は、実のところ法的に規律された手続上の書類でなく、警察の内部書類に近いものなのです。
もっとも、実際は、被害届が提出されているのか、そうでないのかによって警察の動きに差が生じるといっても過言ではありません。法律上の制度ではないとしても、実務的には大きな役割を果たしているのが被害届なのです。
Q 被害届を取下げると事件はなくなるの?
答えは「ノー」です。必ず、ではありません。
軽微な事件であれば、被害届の取下げによって、その事件に対する処罰がなくなる、いわゆる「不起訴」になることもありますし、そもそも検察庁に送致されないこともあります。しかし、必ず事件が消滅して処罰がなくなるわけではありません。
確かに、被害届を取下げるという事実は、被害者の被害感情がない、あるいは少ないことを示す事実として被疑者、被告人に有利に働くことが多いです。その一方で、事件自体が必ずなくなるわけではないのです。
実際の事件において、被害届取下げによって、どのような効果が見込まれるのかは、弁護士に相談して聞いてみるべきでしょう。日本弁護士連合会「弁護士情報提供サービス ひまわりサーチ」は弁護士検索をする際に便利です。
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