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払えない場合は|慰謝料

慰謝料を払えない場合は、どうすればよいか、弁護士に相談したい方へ。慰謝料が払えない場合に、強制執行されるまでの流れを理解することで、適切な対応が可能になります。

Q もし、ずーっと慰謝料の支払をしない場合には、結局どうなるのでしょうか?

日本の法律では、債務者が支払をしない場合でも、いきなり家に押しかけて、家財道具を持ち出したり、現金を強奪することは許されておりません。債務者から強制的に慰謝料などの金銭等を回収し、債務の履行をさせるためには、「強制執行」という手段でなければなりません。

「強制執行」は、「債務名義」がある場合に可能であるとされます。この「債務名義」は、色々な種類があるのですが、一番代表的なものが勝訴判決の「確定判決」になります。

裁判で勝って、「○○円支払え」との判決がある場合には、適法な手続きで債権債務の存否が判断されたわけですから、強制執行してもよい、ということになるのです。

つまり、ごく簡単にいうと、ずーっと支払いをせずに無視し続けると、いつの日か訴訟を提起され、敗訴した場合には、強制執行されてしまう可能性があるのです。

Q  債務名義にはどのようなものがあるのですか?

強制執行のために必要な債務名義は、いわば、公的に「債権があること」を示すものになりますので、なんでも債務名義になるわけではありません。

以下に、どのようなものが債務名義になりうるか、一部例を示します。

具体例 債務名義該当性
確定判決 債務名義になる
仮執行宣言付判決 債務名義になる
調停調書 債務名義になる
家事審判調書 債務名義になる
一定の要件を満たした公正証書 債務名義になる
契約書 債務名義にならない
念書・誓約書 債務名義にならない
債務を認めるメールや手紙 債務名義にならない
※上記は債務名義の一例であり、上記以外にも債務名義となるものがあります。

Q 強制執行って、具体的にどんなことをされるの?給料を差押えられたら生活できない。

強制執行は預金や給与などの財産を差押えられたり、財産を換価するなどして行われます。例えば、給与の差押えについてお話します。給与の差押えは、給与全額を差押えられるのではなく、法律上一定の制限があります。

そのため、すこしずつ回収することになるので、全額回収するのに時間がかかるケースが多いですが、勤務先さえわかっていれば差押えが可能という便利さがあります。

具体的には、基本給や諸手当(通勤手当を除く。)から所得税等を控除した残額の4分の1が原則になります。ただし、控除した残額が月額44万円を超えるときは、そこから33万円を控除した額が差押え対象の給与になります。