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労働条件の変更|労働トラブル

労働条件の変更に関する労働トラブルについて、この記事では解説しています。会社の業績が悪化すると、従業員の給料などが下げられることがありますが、諦めないで済む場合も多いのです。

Q 今月から給料を下げると言われ、会社に同意書を出してしまいました。もう手遅れでしょうか?

状況によっては手遅れではありません。冷静になって、あなたの置かれている状況をしっかり確認しましょう。状況によっては、同意書を出してしまった後でも給料の減額を拒否できる可能性があります。

まず、あなたが最初にすべきことは、会社の就業規則(給与規程)の写しを入手することです。

就業規則は、各事業所の労働条件の最低基準を定めています。すなわち、従業員個人が、いくら会社との間で、給料の減額を合意したとしても、就業規則(給与規程)の基準を下回ることはできません。したがって、就業規則の一部である給与規程の内容を確認することが極めて重要になります。

もし、給料の減額に伴い、あなたの給料が給与規程の基準を下回る場合には、給料の減額措置は無効となります。あなたは、以前の待遇で働き続けることができます

減額後の給料 減額措置の有効性
給与規程を上回る場合 有効になる可能性が高い
給与規程を下回る場合 無効

Q 給料を減額されましたが、仕方がないと思い、半年間文句を言わず従ってきました。

あなたの待遇が、給与規程の定める基準を下回る場合は、半年前にさかのぼって差額分を請求でき、今後の給料の減額を拒否できます。

一方、減額後の給料が、給与規程の水準を上回る場合には、あなたが、給料減額に「同意」したといえるかどうかを検討することになります。

裁判官は、給料のような重要な労働条件を引き下げる場合には、労働者の同意を認定することに慎重となる傾向にあります。なぜなら、給料の引き下げに対し、あからさまに異議を言うと、解雇などの不利益な措置をとられるかもしれないと思う労働者が多いからです。

あなたのように、同意書も出しておらず、単に文句を言わず半年経過したというだけの場合には、給料の減額に同意したとはみなされない可能性があります。

その場合、給料減額の措置は無効となり、半年前にさかのぼって差額分を請求でき、今後の給料の減額を拒否できます。

減額後の給料 減額措置の有効性
給与規程を上回る場合 「同意」と認められない限り無効
給与規程を下回る場合 無効

Q 給与規程が来月から変更され、給料が減額されます。納得できませんが、どう対応すべきですか?

給与規程の変更により、給料を減額することは、以下の2通りの場合に限り有効となります。

事業場の従業員全員の同意がある場合
変更後の給与規程に合理性がある場合

あなたは、給料の減額に納得していないとのことですので、同意書にサインしないようにしましょう。

あなたが同意しない限り、変更後の給与規程に合理性がなければ、給料の減額措置は無効となります。

給料のような重要な労働条件の変更にあたっては、給料を減額するための高度の必要性がなければならないと考えられています。

したがって、会社が、安易に「今期は業績が悪化したから、給料を下げて調節しよう」などと考えて給与規程を変更するだけでは、有効とはいえないのです。

なお、変更後の給与規程の合理性を判断するにあたっては、給料の引き下げの程度はもとより、従業員への説明状況や、代替措置の有無など、様々な事情を考慮する必要があります。

給料の引き下げは、時間が経てば経つほど、もとに戻すのは事実上難しくなります。早めに、労働条件変更トラブルに強い弁護士にご相談いただき、適切なアドバイスをもらうようにしてください。

当事務所では、労働条件変更トラブルに強い弁護士が、あなたを全力でサポートします。