交通事故被害に遭った際に、正当な慰謝料の補償を受けるための方法について、この記事では解説しています。慰謝料の算定方法や補償を受けるポイントについて知ることができます。
Q 交通事故の被害に遭った際、慰謝料はどのようにして算定されますか?
交通事故の慰謝料は、大きく分けて、傷害慰謝料と後遺障害慰謝料に区別できます。傷害慰謝料のことを、入通院慰謝料という場合もあります。傷害慰謝料は、交通事故で受けた怪我の治療のために要した入院期間と通院期間を基準として、画一的に計算されます。一方、後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級に対応する金額が決められています。
算定方法 | 具体例 | |
---|---|---|
傷害慰謝料 | 入院期間と通院期間により算定する。 | 骨折により入院1か月・通院6か月の治療を受けた場合 ⇒149万円 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害等級に対応する金額が設定されている。 | 足関節の可動域障害で12級が認定された場合 ⇒290万円 |
上記で説明した内容は、裁判になった場合に認められる金額です。一方、被害者本人が、保険会社との間で任意に交渉した場合、保険会社からは、自賠責保険金分と合計しても、裁判基準を大幅に下回る金額しか提示されません。
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すれば、保険会社から裁判基準またはそれに近い金額の提示を受けることができるため、弁護士に依頼するメリットは極めて大きいといえます。
反対に、弁護士に依頼しなければ、あなたが正当な補償を受ける権利が大きく損なわれることになります。
交通事故被害にあわれた際は、適正な慰謝料の支払いを受けるためにも、ぜひ早期に弁護士にご相談ください。
Q 傷害慰謝料について、適切な補償を受けるためのポイントを教えてください。
傷害慰謝料は、怪我の治療に要した苦痛を金額で評価したものです。入院期間と通院期間を一応の基準として、治療に要する苦痛の程度が評価されます。交通事故で怪我を負い、継続的に治療する必要があるにもかかわらず、仕事や家庭の事情などを理由に通院しなければ、傷害慰謝料が減額されてしまうおそれがあります。
被害者本人が自覚症状などを感じており、主治医も継続治療が必要との意見である限り、必要な期間中は、できる限り真面目に通院することが、適切な補償を受けるためには重要です。
たとえば、むちうち症の場合には、実際の通院期間が6か月間でも、月に2回しか通院していなければ、1か月半の通院分しか慰謝料を認めてくれません。
なお、通院継続中であるにもかかわらず、保険会社から治療を打ち切る旨の通知を受ける場合があります。この場合、保険会社が病院への治療費の支払いを止める場合が多いです。
しかし、主治医が治療の必要性を認めている以上は、保険会社からの打切り通知にもかかわらず、治療を継続すべきです。そうしなければ、被害者は、適切に怪我を治療できないばかりか、適切な傷害慰謝料の支払いまで受けられなくなります。
主治医の意見も踏まえて、通院の必要性がある限り、保険会社からの治療打切り通知にもかかわらず、適切な頻度で通院を継続することが重要です。
Q 後遺障害慰謝料について、適切な補償を受けるためのポイントを教えてください。
後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級によって決まります。具体的に一部抜粋すると、以下の表の対応関係となります。
後遺障害等級 | 慰謝料額 |
---|---|
第1級 | 2800万円 |
第5級 | 1400万円 |
第9級 | 690万円 |
第12級 | 290万円 |
第14級 | 110万円 |
後遺障害慰謝料について適切な補償を受けるためには、適切な後遺障害等級の認定を受けることが必要です。
後遺障害の認定は、損害保険料率算出機構という組織が、診断書、CT画像、医師への照会結果などを踏まえて審査を行い、判断します。
弁護士にご相談いただければ、主治医と面談した上で、適切な内容の後遺障害診断書を作成してもらい、場合によっては主治医に意見書を作成してもらいます。
また、自賠責に対する被害者請求という制度を利用して、弁護士としての後遺障害等級についての意見を併せて提出し、適切な等級が認定されるよう全力を尽くします。
後遺障害が認定されるか否かにより、慰謝料だけでなく、逸失利益などの賠償額が大きく影響を受けますので、後遺障害の認定を受けるにあたっては、弁護士に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。