ソーシャルゲームの消費者トラブルについて、この記事では解説しています。ソーシャルゲームが高度化するにつれ、知らず知らずに課金を求められるなどのトラブルが発生しています。
Q 子供が勝手にソーシャルゲームに登録して高額の利用料を請求されています。
最近では、未成年者の子供でもスマートフォンを利用しているケースが多く見られます。子供がゲームに熱中するあまり、ソーシャルゲーム内において、親のクレジットカードなどを利用し高額な課金が発生してしまうケースも多いようです。
民法上、未成年者が単独で行った法律行為について、原則として取消しが可能であると定めています。ただし、未成年者が、成人であることを信じさせるための詐術を用いた場合には、取消しができないとされています。
それでは、子供がソーシャルゲームのID登録の際、虚偽の生年月日を入力し、成人として登録していた場合に、未成年者の取消権を行使することができるのでしょうか?
一般に、未成年者の契約取消権が制限されるためには、「積極的な詐術行為」が必要であると考えられています。単に、虚偽の生年月日を入力するだけでは、成人であると申告しているのと同じであるため、積極的な詐術とまではいえないでしょう。
子供が利用するソーシャルゲームで高額請求がされたという場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。ゲーム提供業者と交渉し、高額な利用料の請求を止められることもあります。
原則 | 未成年者取消権により、契約を取り消し、利用料金を拒否できる。 |
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例外 | 積極的な詐術により、成人であると信じ込ませた場合は取り消せない。 (虚偽の生年月日の入力だけでは詐術に当たらない。) |
Q ソーシャルゲームで遊んでいたら、知らない間に課金されていました。支払う義務がありますか?
このモデルの問題点は、無料でゲームをしているつもりでも、いつのまにか有料のアイテムを購入していたなど、無料と有料の境目が消費者目線からあいまいになるケースが多いということです。
ゲーム上のアイテムの入手に課金がされるとの分かるだけの画面表示での案内がなされず、消費者が知らないうちに課金されていたという場合には、契約の不成立または錯誤無効を主張できる可能性があります。
ただし、実際には、利用者が一定の注意を払えば課金を認識できる程度の画面表示がなされていることが多いでしょう。
なお、錯誤無効については、民法上、消費者側に重過失がある場合には主張できないとされていますが、電子消費者契約法の特例により、事業者が意思確認の画面表示の措置をとらなかった場合には、重過失があっても無効主張ができることになります。
ソーシャルゲーム上で高額な課金がされたとお困りの方は、一度弁護士にご相談ください。悪質なゲーム業者の場合には、高額な請求を止めることができることもあります。
Q 有料で入手したアイテムが実際には利用できませんでした。返金してもらえないでしょうか。
また、システムトラブルなどが理由で、アイテムが正常に作動しない場合もあるようです。このような場合、ゲーム運営会社に苦情を申し入れ、アイテムの料金の返金要請をするか、正常に作動するような改善措置をとってもらうことが必要です。
なお、個々のアイテムについての苦情は、料金として低額ですので、正式な法的手続を利用して争うことは実際上は難しいと思われます。しかし、粘り強くゲーム運営会社と交渉すれば、良い方向に進む場合もありますので、諦めずに交渉してみてください。
なお、交渉の過程において、購入したアイテムの返品を申し入れるということも検討に値します。オンラインゲームでのアイテム購入は、特定商取引法上の通信販売に該当しますので、返品不可の特約が明確に表示されていない場合には、法的に返品手続を求めることが可能です。
不明点があれば、一度弁護士に相談してみると具体的な対応方法が理解できます。